今回は、瀬尾 まいこ さんの『掬えば手には』という小説を紹介します!
「人の心が読めたら、もっと誰かを助けられるのに」──そんな願いを抱いたことはありませんか?
瀬尾まいこさんの小説『掬えば手には』は、“人の心が読める”と信じる大学生・梨木匠を主人公にした、静かで優しい物語です。
でもこの作品が本当に描いているのは、心を読む力ではなく、誰かに寄り添い、行動する勇気。
口の悪い店長、心を閉ざしたバイト仲間、そして“秋音”という不思議な声──梨木が出会う人々との関係を通して、読者は「優しさとは何か」「人と向き合うとはどういうことか」を、そっと教えられるような気持ちになります。
この記事では、『掬えば手には』の魅力をじっくりと紐解きながら、読後に残る温かな余韻について綴っていきます。
読み終えたあと、きっとあなたの手にも、何か優しいものが残っているはずです。

心を掬う、静かな感動の一冊
『掬えば手には』
著者 :瀬尾 まいこ
ページ数:336ページ
あらすじ
平均的な身長体重。勉強も運動もすべてが普通。
何の取り柄もないぼくはある日、人の心を読める力に気がついた。
おかげで口の悪い店長の下でも難なくアルバイトを続けているけれど、
新人の常盤さんだけは心を開いてくれなくて……。
他者の心に寄り添うひたむきな姿をだれもが応援したくなる、究極に優しい物語。
(Amazonより)
見どころ
主人公・梨木匠の優しさの本質
物語の主人公・梨木匠は、自分のことを「平凡」だと感じている大学生。
家族がそれぞれに夢中になれるものを持っている中で、自分だけが何も持っていないという劣等感を抱えています。
そんな彼が「人の心が読める」と思い始めたのは、過去の経験から。
中学時代、不登校の同級生が制服を気にしていることに気づいたり、高校ではトイレに行きたいのを我慢している友人を察して助けたり
その“気づき”が、彼にとっては特別な力のように思えたのです。
けれど、物語が進むにつれて読者は気づきます。
梨木が持っているのは、超能力ではなく、他者の気持ちに寄り添い、行動に移す力。
誰かの痛みに気づき、放っておけずに手を差し伸べる。
その姿勢こそが、彼の本当の“特別”なのです。
人の心を読めるかどうかではなく、人の心に向き合えるかどうか
その問いが、物語の根底に流れています。
閉ざされた心に届く声
梨木がアルバイト先で出会う常盤冬香さんは、感情を表に出さず、周囲と距離を置いている女性。
彼女からは何も“聞こえない”はずだったのに、梨木には彼女の中から別の声が聞こえてくる。
それが“秋音”という存在です。
秋音は、常盤さんが過去に堕胎した命の声──という解釈が物語の中で示されます。
この設定には少しファンタジーの要素もありますが、瀬尾まいこさんの筆致はあくまで静かで優しく、現実と幻想の境界を曖昧にしながら、読者に「心の奥にある声」に耳を傾けさせてくれます。
常盤さんがバイトを始めた理由、そしてその理由を覚えていた店長・大竹さんの言葉には、深い思いやりが込められていて、読者の胸を打ちます。
誰かが自分のことを忘れずにいてくれる──その事実が、どれほど人を救うかを教えてくれる場面です。
わかってくれる人のありがたさ
梨木の大学の友人・河野さんは、物語の中でとても重要な存在です。
彼女は梨木の話をちゃんと聞き、理解し、受け止めてくれる人。恋愛関係ではないけれど、深い信頼と絆で結ばれた関係性が描かれていて、読者にとっても心地よい安心感を与えてくれます。
河野さんの「私のためだけにそんなことをしてくれることが、本当にうれしかったんだ。」という言葉は、梨木の行動の価値をまっすぐに肯定してくれるもの。
誰かのために動くことが、ちゃんと届いている──その実感が、梨木を支え、読者にも温かさを残します。
毒舌の奥にある不器用な優しさ
オムライス屋の店長・大竹さんは、暴言を吐きまくる一見“嫌な大人”。
でも、物語が進むにつれて、彼の不器用な優しさがじわじわと見えてきます。
誕生日プレゼントを選ぶセンス、閉店後に店を開けてくれる気遣い、そして常盤さんの過去をちゃんと覚えていたこと──
そのすべてが、彼の“言葉ではなく行動”によって示されます。
初回限定版に収録された店長目線の「アフターデイ」では、彼の内面がさらに掘り下げられていて、読者の間でも人気のエピソード。
毒舌だけど憎めない、そんなキャラクターが物語に深みを与えています。
意味を考える余韻
タイトルの『掬えば手には』は、読了後にじんわりと意味が染みてくる言葉です。
誰かの気持ちを掬い上げたとき、手のひらに残るのはその人の痛みかもしれないし、希望かもしれない。
それは目に見えないけれど、確かに存在するもの。
この物語は、誰かの心に触れることの難しさと尊さを描いています。
そして、触れたその瞬間に、自分の手にも何かが残る──
そんな感覚を、読者にそっと手渡してくれるのです。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・静かな優しさに包まれる物語
人との関わりに疲れていた時期に読んで、癒されたという声多数。
・梨木くんの“おせっかい”が、まっすぐで眩しい
主人公の行動力と善性に共感する読者が多い。
・ファンタジー要素が控えめで、現実の人間関係に重なる部分が多かった。
“秋音”の存在も違和感なく受け入れられたという意見。
・瀬尾まいこ作品らしい、優しくて健やかな読後感。
過去作ファンからの安定した支持。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・心が読める設定が唐突で、リアリティに欠ける気がした。
ファンタジー要素に馴染めなかった読者も。
・主人公の善意がちょっと押しつけがましく感じてしまった。
踏み込みすぎ”と感じる人も一定数いる。
・店長の毒舌が不快で、最後まで好きになれなかった。
キャラクターのクセが強くて合わなかったという声。
・物語が淡々としていて、盛り上がりに欠けた印象。
刺激や展開を求める読者には物足りないと感じられることも。
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『掬えば手には』
著/瀬尾 まいこ





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