宮島未奈『成瀬は都を駆け抜ける』あらすじ!青春群像劇の集大成シリーズ完結!

今回は、宮島未奈さんの『成瀬は都を駆け抜ける』という小説を紹介します!

大学を舞台にした青春小説はあるが、ここまで心を温めてくれる作品は多くない。

『成瀬は都を駆け抜ける』は、シリーズ三部作の完結編にして、集大成と呼ぶにふさわしい一冊。

膳所高校を卒業し、京大生となった成瀬あかりが「京都を極める」と宣言して駆け抜ける一年間。

失恋で沈んでいた同級生を料理で励まし、奇妙なサークルに巻き込まれ、YouTuberの仲間を支え、母の言葉に勇気づけられ、そして最後は幼馴染の島崎と琵琶湖疏水へ。

成瀬のまっすぐさに触れて自分まで前向きになれる。

登場人物たちが彼女に照らされて変わっていく姿を見ていると、「人と関わることの意味」を改めて考えさせられる。

完結してしまうのは寂しいが、だからこの一冊は特別な輝きを放っているように感じる。

青春群像劇の醍醐味を味わいたい人に、ぜひ手に取ってほしい作品。

青春群像劇の集大成シリーズ完結!
『成瀬は都を駆け抜ける』

著者  :宮島未奈
ページ数:240ページ

あらすじ

膳所高校を卒業し、晴れて京大生となった成瀬あかり。

一世一代の恋に破れた同級生、「達磨研究会」なる謎のサークル、簿記YouTuber、娘とともに地元テレビの取材を受ける母、憧れの人に一途に恋焦がれる男子大学生……。

千年の都を舞台に、ますます個性豊かな面々が成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎のもとには成瀬から突然速達が届いて……⁉
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見どころ

坪井の変化と「裏主人公」感

物語の冒頭で登場する坪井は、失恋の痛手で心身ともにボロボロの状態。

そんな彼が成瀬と出会い、何気ない言葉に背中を押されて自炊を始めるところから、少しずつ生活が整っていく。

料理を通じて大曽根氏と語り合い、友人としてインタビューを受けるまでに回復する姿は、まるでもう一人の主人公のよう。

成瀬自身は特別なことをしているわけではないのに、彼女の存在が人を自然に前へ進ませる。

その「人を照らす力」が坪井のエピソードで鮮やかに描かれている。

母の言葉「そういう子なので」

シリーズ全体を通しても屈指の名場面だと思うのが、母親の視点から描かれるエピソード。

担任に「協調性がない」と指摘されても、「そういう子なので」と返す母の姿勢。

これは成瀬の自己肯定感の源であり、彼女が周囲に流されずに自分らしく生きられる理由でもある。

子どもをそのまま受け入れることは簡単なようで難しいものだが、この一言があるからこそ、成瀬は人を照らす存在であり続けられる。

親目線のエピソードはずるいくらい胸に響き涙腺を直撃。

西浦との再会と青春の甘酸っぱさ

前作から続いていた伏線が回収され、西浦が成瀬に真っ直ぐな思いをぶつける場面は、青春の切なさを凝縮したようなシーン。

成瀬はその思いに対して不器用な距離感で応じますが、それが彼女らしさであり、読んでいて温かい気持ちになる。

西浦の手話の場面は印象的で、成瀬が固まるほどのインパクトを持っていた。

恋愛に発展するわけではないけれど、互いの存在を認め合う関係性が描かれていて、青春群像劇の中でもひときわ眩しい瞬間だった。

島崎との琵琶湖疏水

シリーズの最後を飾るのは、幼馴染の島崎みゆきと共に観光大使としての最後の任務を果たす場面。

始まりも終わりも島崎と共にある構成は胸が熱くなる。

京都で出会った人々に大津で迎えられる流れも、成瀬がいかに多くの人の心を照らしてきたかを表している。

島崎が「成瀬は誰に照らされているんだろう」と問いかける場面も印象的で、成瀬が周囲を照らすだけでなく、彼女自身も人に照らされていることが伝わってくる。

成瀬の存在感

三部作を通して描かれてきたのは、成瀬が人を照らす存在であると同時に、彼女自身も周囲から照らされているということ。

大学生になってもそのまっすぐさは変わらず、むしろ輝きを増しているように感じた。

彼女は「何になるかより、何をやるかの方が大事」というポリシーを持ち、目標を達成することよりも過程を大切にする。

完結は寂しいものだが、彼女がこれからも真っ直ぐに生きていく未来を信じられるラストだった。

読者の口コミ

【この作品が合う人の口コミ】

・母親の「そういう子なので」という言葉に涙。親子の関係性が深く描かれていて心に響いた

・成瀬のまっすぐさに触れると自然に前向きになれる。読後感が爽やかで元気をもらえる

・京都や大津の地名やスポットが多く登場し、実際に訪れてみたくなるリアルさが楽しい

・登場人物が成瀬に照らされて変わっていく姿が感動的で、青春群像劇としての魅力が詰まっている

【この作品が合わなかった人の口コミ】

・三部作で完結してしまうのが早すぎる。もっと大学生活をじっくり描いてほしかった

・成瀬が常にポジティブでぶれないため、ドラマ性や葛藤が少なく物足りなく感じる

・登場人物が多く、群像劇的な構成が好きでない人には散漫に見えるかもしれない

・森見登美彦作品へのオマージュなど、元ネタを知らないと楽しみきれない部分がある

その他の人気作品

成瀬は天下を取りにいく

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。

コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。

M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。

今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
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成瀬は信じた道をいく

成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。

「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。

個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 

読み応え、ますますパワーアップの全5篇!
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それいけ!平安部

県立菅原高校の入学式当日、同じクラスになった平尾安以加から「平安時代に興味ない?」と牧原栞は声をかけられた。

「平安部を作りたい」という安以加の熱意に入部を決めるが、新部を創設するには5人の部員が必要だった。あと3人(泣)!!

クラスメートから上級生まで声をかけ、部員集めに奔走するが──
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読んでみた感想(ネタバレ注意)

「やっぱり成瀬は成瀬だな」という安心感が半端ない。

京大に進学して舞台が京都に移っても、彼女のまっすぐさや人を巻き込む力は全くぶれない。
むしろ大学という新しい環境で、さらに輝きを増しているように思った。

特に心に残ったのは、失恋で沈んでいた坪井が少しずつ元気を取り戻していく姿。

成瀬に出会い、彼女の言葉をきっかけに自炊を始め、料理を通じて人とつながり、やがて友達としてインタビューまで受けるようになる。

成瀬が直接何かをしているわけではないのに、彼女の存在が人を自然に前へ進ませる。
その力が坪井の変化を通して鮮やかに描かれていた。

母親の「そういう子なので」という言葉も忘れられない。
子どもをそのまま受け入れることの難しさと大切さが凝縮された一場面で、成瀬の自己肯定感の源がここにあるのだと強く感じた。

親目線のエピソードはずるいくらい響く。

西浦との再会は甘酸っぱくて、青春の切なさを思い出させてくれるもの。

彼の真っ直ぐな思いと、それに応える成瀬の不器用な距離感が、恋愛に発展しなくても十分に眩しい。
青春群像劇の中でひときわ輝く瞬間だった。

そして最後はやっぱり島崎。
幼馴染と共に琵琶湖疏水で観光大使としての最後の任務を果たす場面は、シリーズの始まりと終わりをつなぐ美しい構成。

成瀬が多くの人を照らしてきたことが、集約されていた。

完結するのは寂しいけど、青春群像劇の集大成として読んでよかったと思える作品。

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著者:宮島未奈 

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