今回は、似鳥鶏さんの『みんなで決めた真実』という小説を紹介します!
殺人事件の裁判がテレビで生中継され、名探偵が「犯人はこの人です」と言えば、それがそのまま「真実」として扱われる。
そんな荒唐無稽な世界を描いた『みんなで決めた真実』。
けれど読み進めるうちに笑い飛ばせるものではないと気づかされる。
証拠よりも空気、論理よりも演出が優先され、世論やメディアの力で人の人生が簡単に決まってしまう。
現代社会にも通じる危うさが、物語の中で鋭く浮かび上がっていく。
この小説は、群衆心理やメディアの影響力をテーマにした社会派エンターテインメント。
痛快さと恐ろしさが同居する世界観に引き込まれ、読み終えた後には「空気で裁かれる怖さ」が心に残る。
ここでは、その魅力をじっくり掘り下げていきたいと思う。

裁判がエンタメ化?名探偵が犯人を決める世界の怖さとは
『みんなで決めた真実』
著者 :似鳥鶏
ページ数:280ページ
あらすじ
犯人はあなた。
名探偵がそう決めました。裁判中継が国民的娯楽に!?
真実なき時代のモキュメンタル・ミステリ!!裁判の生中継番組が一大エンターテイメントとなり、「名探偵」が活躍するようになった社会。
法学部生の僕はじいちゃんと裁判中継を観ていた。
一瞬でトリックを暴く名探偵。有罪は確定。
しかし、じいちゃんは言う。名探偵の推理は間違っている。
凄腕の探偵だったじいちゃんは法廷でかつての弟子と推理対決をすることに――。
(Amazonより)
見どころ
裁判がエンタメ化された世界の異様さ
物語の舞台は、殺人事件の裁判がテレビで生中継される近未来の日本。
裁判は正義を守る場ではなく、視聴率を稼ぐためのショーに変わり、名探偵が「犯人はこの人です」と指摘すれば、それがそのまま「真実」として扱われてしまう。
証拠や論理よりも「空気」が優先されるこの世界は、現代のメディアやSNSの風潮を極端に拡張したものとして描かれている。
名探偵という権威
本作では名探偵が裁判の中心人物として登場し、警察や裁判官よりも信頼される存在になっている。
彼らは視聴者の期待に応えるために「犯人役」を演出し、推理が真実かどうかは問題ではなく、視聴者が納得するかどうかがすべて。
名探偵は「真実を暴く者」ではなく、「真実を作る者」になってしまっている。
これは現代における専門家やインフルエンサーの言葉が、検証されることなく絶対視される危険性を暗示している。
老探偵と介護士のコンビ
物語の中盤から登場する「じいちゃん探偵」と「食いしん坊介護士」のコンビがいい。
じいちゃんの観察力と論理的思考、介護士の素朴な優しさが物語に面白さを与え、読者に爽やかな読後感を与えてくれる存在。
彼らの姿勢は「真実を追求することの大切さ」を教えてくれる。
群衆心理とメディア操作
本作の根底にあるテーマは「空気によって真実が決まる」という群衆心理の危険性。
名探偵の推理が多少矛盾していても、テレビ映えする演出があれば視聴者は納得し、司法もそれに従ってしまう。
これは現代のSNSでの炎上や報道による印象操作を思わせる構造で、「みんながそう思っているから」「テレビがそう言っているから」という理由で無実の人が犯人にされる恐ろしさを描いている。
ストーリー構成の巧みさ
物語は導入から少しずつ世界観を明かし、クライマックスに向けて緊張感を高めていく。
最終章でじいちゃん探偵が空気に流される裁判に一石を投じる展開は痛快で、事件の解決だけでなく社会の歪みに対する反論もしている。
「こんな世界になってほしくない」という思いと、「でも今の世の中も似ているかも…」という複雑な気分になる。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・キャラクターが魅力的
食いしん坊介護士とのコンビが微笑ましく、人間味があって好き。
・設定が斬新で一気読み!
裁判がエンタメ化された世界観に驚きつつも、面白くて止まらなかった。
・じいちゃん探偵が格好いい
空気に流される裁判に立ち向かう姿が痛快で、読後感もスッキリ。
・社会風刺が効いていて考えさせられる
メディアや世論の怖さを描いた内容に共感。現代にも通じるテーマが良かった。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・作者の主張が強すぎる
物語よりもメッセージ性が前面に出ていて、説教臭く感じた。
・設定が非現実的すぎて入り込めない
裁判がテレビ番組になるという世界観に違和感を覚えた。
・名探偵の推理に説得力がない
もっと緻密なロジックが欲しかった。推理ものとしては物足りない。
・群衆が思考停止すぎる描写が不快
登場人物以外があまりに流されすぎていて、リアリティを感じられなかった。
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読んでみた感想(ネタバレ注意)
裁判がエンタメ化され、名探偵がテレビで犯人を名指しするだけで有罪が決まってしまう世界。
荒唐無稽に見えて、現実の「空気」や「同調圧力」によって真実がねじ曲げられる場面を思い出すとリアル感がすごい。
物語の中心にいるのは老人ホームにいる元探偵のおじいちゃん。
彼がテレビの中で繰り広げられる茶番に違和感を覚え、矛盾を突き、若者たちと一緒に立ち上がる展開は痛快。
名探偵と呼ばれるタレント探偵が、実はポンコツでアイドル的な存在に過ぎないという描き方も皮肉が効いていて面白い。
SNSで探偵を崇め、被告人の容姿をネタにする世間の姿は、まさに今の社会の縮図そのもの。
「真実とは何か」「正義とは誰が決めるのか」という問い。
証拠や論理ではなく、世間の空気やテレビの台本で人の人生が決まってしまう恐ろしさ。
冤罪を晴らすために立ち上がるおじいちゃんの姿は、古典的な安楽椅子探偵のようでありながら、現代社会への強烈な訴え。
最後はそれなりに丸く収まり、ホッとできる結末になっていたのも救い。
重たいテーマを扱いながらも、作者らしいキャラクターの愛嬌があって、読んでいて暗くなりすぎない。
社会派の要素とエンタメ性がうまく融合した作品で、「空気に流される怖さ」を考えさせられる一冊。
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『みんなで決めた真実』
著者:似鳥鶏



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