純文学×探偵『帰れない探偵』あらすじ!ジャンルを超えた音楽の力!近未来探偵小説

今回は、柴崎友香さんの『帰れない探偵』という小説を紹介します!

「帰れない」という言葉に、あなたは何を思い浮かべるだろう。

それは、物理的な不自由かもしれないし、心の奥にある喪失感かもしれない。

柴崎友香さんの『帰れない探偵』は、そんな“帰れなさ”をテーマにした、静かで不思議な物語です。

探偵小説の体裁をとりながらも、謎を解くことよりも、世界をさまようことに重きが置かれている。

国も街も名前は曖昧で、時間軸も「今から十年くらいあとの話」とだけ語られる。

読者は、主人公とともに、どこでもない場所を旅しながら、自分自身の“帰る場所”について考えさせられる。

この小説は、読み進めるほどに現実と幻想の境界が溶けていくようです。

そして気づけば、あなた自身が「帰れない探偵」になっているかもしれない。

そんな読書体験を、ここでじっくり味わってみませんか。

ジャンルを超えた音楽の力!
『帰れない探偵』

著者  :柴崎友香
ページ数:304ページ

あらすじ

「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。

急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
(Amazonより)

見どころ

帰れないという感覚の深さ

この作品の根幹にあるのは、「帰れない」という状態です。探偵が自宅兼事務所に物理的に帰れなくなるという不思議な状況から物語は始まりますが、それは単なる現象ではなく、読者に「帰属」や「居場所」について問いかけてきます。

実家にしばらく帰っていないだけでも心に小さなしこりが残るように、帰れないことが確定した瞬間、その場所への執着心は増幅される。

しかもそれが国レベルになると、アイデンティティの喪失や政治的な緊張にもつながりかねない。

物語の中で描かれる「帰れなさ」は、現代社会の不安や孤独を象徴しているようにも感じられます。

時間と場所の曖昧さが生む浮遊感

「今から十年くらいあとの話」というフレーズが各章の冒頭と末尾に繰り返されることで、読者は常に時間軸の揺らぎの中に置かれます。

具体的な国名や都市名は出てこないものの、坂の多い港町や砂漠の街など、風景描写は妙にリアルで、どこか既視感を覚える。

それなのに、どこか現実味がない。

この曖昧さが、まるで夢の中を漂っているような読書体験を生み出します。

探偵という職業のはずなのに、謎を解くことよりも、ただ世界をさまようことに重きが置かれているのも印象的です。

音楽が記憶と感情をつなぐ

物語の随所に登場する音楽の描写は、単なる背景ではなく、主人公の感情や記憶を呼び起こす装置として機能しています。

理解できない言語の歌でも、メロディに心を動かされるように、音楽は国境や言語を超えて人の心に届く。

特にラスト近くで、高校時代の友人のゲリラライブに遭遇し、その歌声に導かれて走り出す場面は、音楽が「帰れない」状態から一瞬でも人を解放する力を持っていることを示唆しています。

音楽が風化に抗う力として描かれている点も、非常に詩的で美しい。

探偵という職業の再定義

この作品に登場する探偵は、いわゆる事件を解決するタイプではありません。

世界探偵委員会連盟という架空の組織からの依頼を受けて、淡々と仕事をこなす姿は、むしろ諜報員や漂流者に近い。

依頼の内容も、失われた本を探す、過去の記憶を辿るなど、どこか個人的で静かなものばかり。

探偵という職業が、社会の中で「何かを見つける人」「意味を探す人」として再定義されているように感じられます。

読者自身もまた、自分の人生の意味を探す探偵なのではないか――

そんな問いが静かに投げかけられているのです。

現代への静かな警鐘

物語の背景には、巨大企業スノコルミー社の存在や、国の体制の変化、パスポートによる移動制限など、現代社会の不穏な空気が漂っています。

それらは直接的に語られることはなく、あくまで物語の中にさりげなく忍ばされている。

だからこそ、読者は自分の現実と照らし合わせながら、じわじわとその不安を感じ取ることになる。

この静かな警鐘こそが、柴崎友香の純文学的な手法の真骨頂であり、読後に残るざわざわとした感覚の正体なのかもしれません。

読者の口コミ

【この作品が合う人の口コミ】

現代社会への静かな問いかけ
帰れないという設定が、移民やアイデンティティの問題を連想させて深く考えさせられた。

世界観に浸れる
どこでもない街を旅するような感覚が心地よく、読書中ずっと想像が広がった。

音楽の描写が印象的
言葉がわからなくてもメロディに惹かれる感覚がリアルで、音楽が物語に深みを与えていた。

ジャンルを超えた魅力
探偵小説なのに謎解きがない。でもその分、純文学としての余韻が強く残った。

【この作品が合わなかった人の口コミ】

構成が難解
“今から十年くらいあとの話”という繰り返しが混乱を招き、物語の流れがつかみにくかった。

物語が掴みにくい
すべてがぼんやりしていて、何を読まされているのか分からなくなった。

期待と違った
探偵ものだと思って読んだら、謎解きもなくて拍子抜けした。

登場人物や設定が曖昧すぎる
誰が誰なのか、どこなのか、いつなのかが曖昧で、感情移入できなかった。

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