今回は、染井為人さんの『ひきこもり家族』という小説を紹介します!
「もし、あなたの家族が突然“自立支援”と称して連れ去られ、暴力と支配の施設に閉じ込められたら——?」
そんな衝撃的な問いから始まる、染井為人さんの最新作『ひきこもり家族』。
ひきこもりという繊細で複雑なテーマを、エンタメ性と社会性を絶妙に織り交ぜながら描いた本作は、ただのフィクションでは終わりません。
“ふつうであること”の重圧、“善意”の名を借りた暴力、そして“家族”の限界と希望。読む者の心を揺さぶり、現代社会の闇に光を当てる一冊です。
読みやすさとテンポの良さは染井作品ならでは。
けれど、ページをめくる手が止まらないのは、そこに描かれる“現実にありそうな絶望”が、あまりにもリアルだから。
この物語は、あなたのすぐ隣にあるかもしれない“もしも”の話なのです。

ブラック支援施設と8050問題を描く社会派ミステリー
『ひきこもり家族』
著者 :染井 為人
ページ数:380ページ
あらすじ
不登校となり12歳でひきこもりとなった19歳の僚太。
母親と二人暮らしの大知はブラック企業で働き心を病んで、20年前からひきこもり44歳となった。
双方の家族がすがったのは、新宿にある「リヴァイブ自立支援センター」。
強引に自宅から引き出された二人は、すでにそれぞれのひきこもり人生から無理矢理引き出されていたほかの三人、50代の竹之内、40代の亜弥子、20代の玲とともに、元警察官が営む熊本の研修施設で囚人のような生活を強いられる。
施設長は辺見未知留というプロレスラーのような巨体の大女だ。悪魔のような彼女に監視され、逃げることもできず未来のない辛い日々が続く。
ある日、監獄のような扱いに抗い五人は施設長を殺してしまう。
(Amazonより)
見どころ
ひきこもりという現代的テーマの深掘り
本作の中心にあるのは「ひきこもり」という社会問題。
登場するのは、19歳の僚太と44歳の大知という、年齢も背景も異なる二人のひきこもり。
彼らの心情や過去、そして家族との関係が丁寧に描かれており、「なぜ人はひきこもるのか」「その苦しみはどこから来るのか」といった問いが自然と浮かび上がります。
染井さんは、ひきこもりを単なる“社会的弱者”としてではなく、環境や人間関係、心の傷によって生まれる複雑な現象として描いています。
読者は、彼らの視点を通して、ひきこもりの内面に寄り添うことができるでしょう。
ブラック支援施設という衝撃的な舞台設定
物語の舞台となる「リヴァイブ自立支援センター」は、表向きは更生施設ですが、実態は暴力と支配による“監獄”のような場所。
入会金800万円という高額な費用を取り、本人の意思を無視して強制的に連れ出すという手法は、現実に存在する“引き出し屋”の問題を彷彿とさせます。
施設長・辺見未知留は、プロレスラーのような巨体を持ち、暴力で人を支配する象徴的な存在。
彼女の存在は、善意の仮面をかぶった悪意の象徴として、読者に強烈な印象を残します。
この舞台設定は、エンタメ性を高める一方で、「支援とは何か」「誰のための支援なのか」といった倫理的な問いを投げかけてきます。
登場人物たちの変化と人間ドラマ
僚太、大知、そして施設で出会う他の3人(竹之内、亜弥子、玲)との共同生活を通して、彼らは少しずつ変化していきます。
最初は絶望と恐怖に支配されていた彼らが、互いに心を通わせ、協力し、そしてある決断を下すまでの過程は、まさに人間ドラマの核心。
暴力に抗い、施設長を殺害するという極限の選択を経て、彼らは“自分の人生を取り戻す”ために動き出します。
この変化の描写は、染井作品ならではのリアリティと緊張感に満ちており、読者の心を揺さぶります。
社会への問いかけと読後の余韻
『ひきこもり家族』は、単なるサスペンスやドラマではありません。
8050問題、支援団体の闇、家族の葛藤など、現代日本が抱える問題を浮き彫りにしながら、「普通であることの圧力」「社会の善意の暴力性」といったテーマを巧みに織り込んでいます。
ラストは希望を感じさせるものの、10年の空白をぼかすことで、読者に「その後」を想像させる余地を残しています。
この余韻こそが、染井作品の魅力のひとつ。読後に考えさせられることが多く、感想も多様に分かれるのはその証です。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・読後に希望が感じられる展開が良かった
絶望の中でも人間の再生を描いていて、救いがある物語だった。
・テンポが良くて一気読みできた
染井作品らしいスピード感と読みやすさで、最後まで飽きずに読了。
・社会問題をエンタメとして描く手腕が見事
ひきこもりや支援施設の闇をリアルに描きつつ、物語としても面白い。
・登場人物の心情描写が丁寧で共感できた
ひきこもり本人だけでなく、家族の苦しみも伝わってきた。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・現実味がなく感情移入できなかった
自分の生活と遠すぎて、物語に入り込めなかった。
・ラストがぼんやりしていて物足りない
10年後の描写が曖昧で、結末に納得感がなかった。
・既視感があり新鮮味に欠ける
似たようなテーマの作品が多く、印象に残りづらかった。
・エンタメとして扱うにはテーマが重すぎる
ひきこもりや性同一性障害など、深刻な問題を“ごった煮”にした印象。
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『ひきこもり家族』
著者:染井 為人






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