今回は、雨穴さんの『変な地図』という小説を紹介します!
こんなに不思議で読みやすい物語があるだろうか?
雨穴さんの最新作『変な地図』は、シリーズのファンならもちろん、初めて手に取る人でも一気に引き込まれてしまう作品。
大学生だった頃の栗原が祖母の家で見つけた古地図をきっかけに、奇妙な集落へと足を踏み入れる。
その先に待っているのは、謎と人間模様が幾重にも絡み合うミステリー。
今回も気になる仕掛けが…
最後のあとがきに至るまで物語の一部として機能している。
このブログでは、そんな『変な地図』の魅力を、栗原という人物の新しい一面や古地図の意味を語っていく。
読んだ人も、まだ読んでいない人も、「次のページをめくりたくなる」あの感覚を一緒に味わってみませんか?
古地図に隠された謎と栗原の過去
『変な地図』
著者 :雨穴
ページ数:416ページ
あらすじ
2015年、大学生の栗原は、意外な事実を知る。
彼の祖母が、正体不明の古地図を握りしめて、不審死を遂げたという。
その古地図には、7体の妖怪が描かれていた。
これはいったい何なのか。なぜ、祖母は死に際にこんなものを持っていたのか。
謎を探るため、栗原は旅に出る。そこに待ち受けていたのは、海沿いの廃集落、不可解な人身事故、潰れかけの民宿、因縁に満ちたトンネル、そして古地図に秘められた悲しい事実だった――。
(Amazonより)
見どころ
栗原が主人公である意義
シリーズの「謎解き装置」だった栗原が、人間として立ち上がる。
大学生の彼は知識と観察力だけでは進めない局面で、迷い、選び、責任を負う。
助っ人ではなく当事者になることで、これまでの「冷静な分析者」というイメージに奥行きが生まれ、シリーズを全部読んでる人なら新鮮に感じる。
過去の背景(家族、就活、価値観)が地図の解読に作用する構図は、人物造形と謎解きが有機的に絡み合う面白さがある。
古地図という「物語の鍵」の扱い
地図は手がかりの寄せ集めではなく、意図と記憶が編み込まれたメディアとして機能する。地名、形状、配置が物理情報であると同時に、作り手たちの願いと沈黙を運ぶ符号になっているため、読み進めるほど「何が描かれているか」から「なぜこう描かれたか」へ視点が反転する。最後にタイトルの意味が回収されると、地図自体が物語の主語だったことに気づき、紙片が証言者へと変わる。
読みやすさが加速させる没入
断片的な事実の再掲、図解、見取り図が、読者の理解を前に進める。
ページ戻りをほぼ不要にする親切設計は、推理の速度を落とさない。
視覚情報が補助輪ではなくエンジンとして働き、複数の事件線や地理的関係が直感的に掴めるので、謎の密度を保ったまま読み心地は軽い。
ここは全シリーズ通して言えること。
この設計思想が、初心者と熟練読者の双方にとって敷居を下げる。
余白を残す結末が考察を呼ぶ
祖母の選択、集落の女性たちの秘密、守られたものと失われたもの。
説明されない領域が意図的に残されている。
すべてを閉じないことで、読者は自分の倫理や経験を持ち込んで「補完」せざるを得なくなる。
ミステリーの快感(論理的解決)とフィクションの余韻(意味の未決)を両立させた終わり方は、物語を読了後も継続させる装置になっている。
あとがきまでが仕掛け
作者の声がメタ的に物語へ接続され、現実と虚構の境界が意図的に曖昧化する。
制作経緯や「語り手の立ち位置」が提示されることで、読者は「読まされたもの」と「信じたもの」のズレを楽しむことになる。
通常はオフステージのはずのあとがきが、認識を揺らす最後のトリックとして機能し、読書体験のフレームをもう一段階ズラす。
最後まで楽しめる仕掛けは読者にとっても大歓迎。
人間ドラマの接点
母娘山、廃集落、事故の痕跡。
舞台は広いが、結局焦点は人の選択に収束する。
大がかりな仕掛けや歴史のロジックが展開しても、物語の駆動源は個々の感情(恐れ、連帯、祈り)にあるため、スケールの大きさが人間の手触りを損なわない。
「巨大な構図に絡め取られながら、それでも自分の物語を選ぶ人たち」という等身大の芯が、読者の共感を呼ぶ。
栗原の成長
「わからずやの社会に自分を合わせる」「時には、相手が望む人間を演じる必要がある」という父の言葉は、彼の振る舞いと推理のスタイルに影を落とす。
事実を暴くだけでなく、場に適応し、人を守るために役割を選ぶ。
その倫理は、真実と善の両立が常に容易ではないことを示す。
栗原が採る振る舞いは、知性の勝利ではなく成熟の兆しとして記憶に残る。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・雨穴作品特有の不穏さはありつつも、今回は比較的ハッピーエンドで安心できた
・図解や挿絵が多くて理解しやすく、読書に慣れていなくてもスラスラ読めた
・栗原さんの過去が描かれていて、シリーズファンとしては新しい一面を知れて嬉しい
・古地図の謎が少しずつ解けていく展開が探偵小説のようでワクワクした
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・スケールは大きいのに、最後の肩透かし感が強くて期待ほどの衝撃はなかった
・図版や引用が多すぎて、文章としての厚みが足りず物足りなかった
・謎が出てきてはすぐ解かれる繰り返しで、展開が平坦に感じた
・祖母の自殺の理由など、発端がやや不自然で納得しづらかった。
その他の人気作品
変な家

知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。
知り合いの設計士にその間取り図を見せると、 この家は、 そこかしこに 「奇妙な違和感」が存在すると言う。
不可解な間取りの真相とは!?
突如消えた元住人は一体何者!?
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変な家2 〜11の間取り図〜

『変な家』第2弾!
あなたは、この「11の間取り」の謎が解けますか?
前作に続き、フリーライターの筆者と設計士・栗原のコンビが
不可解な間取りの謎に挑む。
1「行先のない廊下」
2「闇をはぐくむ家」
3「林の中の水車小屋」
4「ネズミ捕りの家」
5「そこにあった事故物件」
6「再生の館」
7「おじさんの家」
8「部屋をつなぐ糸電話」
9「殺人現場へ向かう足音」
10「逃げられないアパート」
11「一度だけ現れた部屋」
後編「栗原の推理」
すべての謎が一つにつながったとき、きっとあなたは戦慄する!
(Amazonより)
変な絵

シリーズ累計120万部突破のミリオンセラー小説『変な絵』が待望の文庫化!
49ページに及ぶ物語の前日譚『続・変な絵』と『ナゾ解きゲーム』も特別収録!
オカルトサークルに所属する佐々木は、後輩の栗原からとあるブログの存在を教えられる。そこには、『あなたが犯した罪』という不穏なメッセージとともに、投稿者の妻”ユキ”が描いた「絵」が掲載されていた――。
『風に立つ女の絵』『灰色に塗りつぶされたマンションの絵』『震えた線で描かれた山並みの絵』……いったい、彼らは何を伝えたかったのか――。
9枚の奇妙な絵に秘められた衝撃の真実とは!? その謎が解けたとき、すべての事件が一つに繋がる!
今、最も注目を集めるミステリー作家、雨穴が描く、戦慄の国民的スケッチ・ミステリー!
(Amazonより)
読んでみた感想(ネタバレ注意)
『変な地図』を読み終えて、まず感じたのは「シリーズの中でも一番人間味が強い作品だな」ということ。
これまでの「変な家」「変な絵」などは、不気味さや恐怖が前面に出ていて、読者をゾッとさせる仕掛けが多かった。
でも今回は、主人公が栗原さんであることで、物語の重心が「謎」だけでなく「人」に移っている。
大学生だった頃の栗原が、祖母の家で見つけた古地図をきっかけに奇妙な集落へと足を踏み入れる。
その展開は、探偵小説のようなワクワク感がありつつ、同時に「祖母はなぜ自ら命を絶ったのか」「地図に込められた想いは何なのか」という人間的な問いに読者を向き合わせる。
謎解きの快感と、人生の選択や記憶の重さが同時に描かれているので、読みながら自然と考え込んでしまう。
図解や挿絵がふんだんに使ってるので、複雑な人間関係や事件の流れがとても分かりやすい。
ここは全シリーズ通して作者の腕だと思う。
普通なら「ちょっと戻って確認しよう」となるところも、必要な情報がその場で再掲されるので、スピード感を損なわずに一気に読み進められる。
読書慣れしていない人でも安心して楽しめると思うし、この作者は初心者にもおすすめ。
最後のあとがきまで物語の一部になっているのも楽しめた。
『変な地図』は怖さよりも「人の想い」に焦点が当たっていて、シリーズの新しい方向性を示しているように感じた。
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『変な地図』
著/雨穴





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