今回は、早見和真さんの『八月の母』という小説を紹介します!
「母性とは何か?」そんな問いに真正面から切り込む一冊があるとしたら、それが早見和真の『八月の母』です。
この物語は、愛媛県伊予市で実際に起きた凄惨な事件をモチーフに、母と娘、そしてその連鎖する“呪縛”を描いた衝撃作。
読んでいる間、何度もページを閉じたくなるほど苦しく、でも目を離せない。
なぜ彼女たちは逃げられなかったのか?なぜ同じ悲劇が繰り返されるのか?
読後、胸に残るのはただの悲しみではありません。
それは、誰かの人生を背負って生きることの重さと、自分の人生を選び取ることの尊さ。
このブログでは、『八月の母』が描く“負の螺旋階段”の意味を紐解きながら、読者に問いかける力を持つ物語の本質に迫ります。
読む覚悟はありますか?
この一冊は、あなたの価値観を静かに、でも確実に揺さぶります。
実話を元に描かれた母性と虐待の連鎖とは?
『八月の母』
著者 :早見和真
ページ数:496ページ
あらすじ
八月は、血の匂いがする――。
愛媛県伊予市に生まれた越智エリカは、この街から出ていきたいと強く願っていた。
男は信用できない。友人や教師でさえも、エリカを前に我を失った。
スナックを営む母に囚われ、蟻地獄の中でもがくエリカは、予期せず娘を授かるが……。
あの夏、あの団地の一室で何が起きたのか。嫉妬と執着、まやかしの「母性」が生み出した忌まわしい事件。
その果てに煌めく一筋の光を描いた「母娘」の物語。
見どころ
母性という“幻想”への問いかけ
この作品の最大のテーマは「母性とは何か?」という根源的な問いです。
母親だからといって無条件に子を守る存在であるとは限らない。むしろ、母性が呪縛となり、娘を苦しめる構造が描かれています。
主人公たちは「母であること」に苦しみ、母から逃れられないことで人生を歪められていく。
母性が“まやかし”である可能性を提示することで、読者に価値観の揺さぶりを与えます。
実在の事件をベースにしたフィクションの力
物語は、2015年に愛媛県伊予市で起きた女子高生暴行死事件をモチーフにしています。
実際の事件を下敷きにしながらも、著者は“モデル小説”ではなく“仮説に基づいた物語”として構築。
事件の背景にある「母性の歪み」や「疑似家族の崩壊」を描くことで、現実の社会問題に鋭く切り込んでいます。
読者は、フィクションでありながらも現実の痛みを感じずにはいられません。
世代を超える“負の連鎖”とその断ち切り
物語は、美智子、エリカ、陽向、そして紘子という四世代の女性たちの人生を通して、“負の連鎖”がいかにして続いていくかを描いています。
虐待、依存、暴力、そして逃げられない環境。
それぞれが「自分の人生を生きたい」と願いながらも、母の呪縛に囚われてしまう。
最終的に陽向がその連鎖を断ち切ることで、読者に希望の光を見せてくれます。
男性作家だからこそ描けた“女の業”
著者・早見和真は、自身が男性であることを意識しながら、女性たちの視点に徹底的に寄り添っています。
登場する“クソ男”たちは、著者自身の中にある“男の嫌さ”を投影した存在。
だからこそ、女性たちの苦しみがリアルに浮かび上がり、読者はその痛みに共感せざるを得ません。
男だからこそ書けた、母と娘の連鎖の物語です。
ラストに込められた“分断”の希望
物語の終盤、陽向が母・エリカとの関係を断ち切る場面は、読者にとって大きなカタルシスとなります。
「分断」や「絆を断ち切る」という行為が、ネガティブではなくポジティブな選択として描かれているのです。
それは、母性の呪縛から解放され、自分の人生を生きるための第一歩。
このラストがあるからこそ、読後に残るのは絶望ではなく、静かな希望です。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・母娘関係の描写がリアル
「自分の親との関係を思い出した」「母性の幻想に気づかされた」と、個人的な共鳴を語る読者も。
・心に深く刺さるテーマ
母性や虐待の連鎖を描いた重厚な物語に「しんどいけど読んでよかった」と感動する声が多い。
・希望のあるラスト
主人公・陽向が負の連鎖を断ち切る展開に「救われた」「希望が見えた」と前向きな感想。
・社会問題への気づき
実在の事件をモチーフにしていることから「現実を知るきっかけになった」「考えさせられた」との評価。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・テーマが重すぎて再読不可
「一度読めば十分」「もう一度読む気にはなれない」と、内容の重さに疲弊した読者も。
・読後感が重すぎる
「気分が悪くなった」「読むのをやめようかと思った」と、精神的に負担を感じた人も。
・登場人物に共感できない
特に母親・エリカの言動に「理解できない」「大人になりきれていない」と否定的な意見。
・暴力描写が過激すぎる
団地での集団暴行シーンなどに「吐き気がするほど残酷」「読むのが辛い」との声。
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著/早見和真






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