今回は、森絵都さんの『カラフル』という小説を紹介します!
「人生は少し長めのホームステイ」――
こんな言葉に、ドキリとしたことはありませんか?
私たちはみんな、自分という体を借りて、限られた時間を過ごしている。
そんな風に生きることを見つめ直す機会をくれるのが、森絵都の『カラフル』という一冊です。
この作品には、生きることの“重さ”も“軽さ”も、そして人間が抱える複雑な感情も、すべてが鮮やかに描かれています。
読んでいくうちに、自分の世界の色が少しずつ変わっていく。
気づかなかった誰かの優しさ、知らなかった自分の本音――
そんな発見が、この物語のなかにはたくさん詰まっています。
このブログでは、『カラフル』の深いテーマと読後の余韻について、じっくりと味わってみたいと思います。
読んだことがある人も、これから出会う人も、「こんな視点で読んでみたい」と思えるような入口になりますように。

自分を受け入れるための物語
『カラフル』
著者 :森絵都
ページ数:272ページ
あらすじ
「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」 生前の罪により輪廻のサイクルからはずされたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、 再挑戦のチャンスを得た。
自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、 自分の罪を思い出さなければならないのだ。 ガイド役の天使のプラプラによると、父親は利己的で母親は不倫しており、兄の満は無神経な意地悪男らしい。
学校に行ってみると友達がいなかったらしい真に話しかけてくるのは変なチビ女だけ。
絵を描くのが好きだった真は美術室に通いつめていた。
ぼくが真として過ごすうちに、しだいに家族やクラスメイトとの距離が変っていく。
モノクロームだった周囲のイメージが、様々な色で満ちてくる――。
(Amazonより)
見どころ
ホームステイという視点の転換
物語の軸となるのは、死後に抽選で選ばれ、他人の肉体を借りて生きる――という奇抜な設定。
しかし、その非現実的な構造の中に「人生はホームステイのようなもの」というメッセージが込められていて、自分自身の存在を少し引いて眺めてみるという新しい視点を与えてくれます。
自分の人生ですら、どこか“借り物”のように捉えることで、過剰な責任感や苦しみから少し自由になれるという示唆は、多くの読者にとって救いのある考え方ではないでしょうか。
色彩で捉える人間と世界
タイトルの「カラフル」が象徴するのは、世界や人間関係、感情が多様であるということ。
一色ではない。善悪・正誤・好き嫌いといった単純な分け方では見えてこない、人間の曖昧さや複雑さが、視点が変わるごとに鮮やかに浮かび上がります。
登場人物たちも、最初は「嫌な人」「冷たい人」といった印象だったのに、主人公の視野が広がるにつれて、それぞれが抱えていた痛みや優しさが少しずつ見えてくる。
世界は思っていたよりもずっと色にあふれているんだ、と気づかされる瞬間が何度も訪れます。
罪というテーマへの静かな問いかけ
主人公は「生前の罪」を思い出すという課題を抱えて“真”として生活を始めますが、作品全体がこの「罪」とは何かを問い続けています。
犯罪ではなく、過ちでもなく、“自殺”そのものが罪なのか?
この問いは、現代の私たちにも鋭く突きつけられるテーマです。
作品では説教じみた表現は避けながらも、「生き直す」ことの意味を穏やかに、しかし力強く描いています。「死にたい」と思ってしまう人に対して、ただ「ダメだよ」と言うのではなく、「違う視点で世界を見てみよう」と優しく提案してくれる。
そんな温かい余白が、この作品の根底には流れているのです。
人間関係の誤解と再構築
家族・友達・恋人――どれも「わかっているつもり」だった関係。
しかし他人として“真”を見つめる中で、主人公は家族の言葉や態度の裏側にある真意に気づいていきます。
親の不完全さや兄の不器用さ、友人の孤独。
それらは、生きていたときの自分だったら見落としていたかもしれないもの。
言葉を交わすことの大切さ、誤解を解きほぐす時間の尊さ
作品はそれを静かに教えてくれます。
読者を励ますメッセージ性
「人生は少し長めのホームステイ」
「この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる」
こうした印象的な言葉は、作品を読み終えた後もずっと心に残ります。
完璧じゃないからこそ迷っていいし、苦しんでいい。
その迷いの中にこそ“生きる意味”や“自分の色”があることを、物語はやさしく肯定してくれるのです。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・読後の余韻が温かい
苦しい時こそ視点を変えることで見える世界があると気づかされた。
・心にしみる人生観の変化
「人生はホームステイ」という考え方が、自分を楽にしてくれた。
・感情が素直に描かれている
登場人物の気持ちのぶつかり合いに、家族との関係が重なり涙した。
・普通を再発見できる物語
何気ない日常を描いているのに、こんなにも深く感じられるとは。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・ファンタジー設定に違和感
天使や輪廻転生の要素が現実味に欠けて入り込めなかった。
・展開が読めてしまう
序盤でオチがわかり、ラストに意外性がなかった。
・文章が子ども向けすぎる
簡単すぎて物足りない。児童文学としてはいいが、大人には軽く感じる。
・主人公に共感できない
真の性格や行動がどうしても好きになれなかった。
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『カラフル』
著者:森絵都



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