今回は、王谷晶さんの『ババヤガの夜』という小説を紹介します!
もしあなたが「暴力」と聞いて眉をひそめるタイプなら、ちょっと待って下さい。
『ババヤガの夜』は、ただのバイオレンス小説ではありません。
これは、社会の枠に押し込められた女たちが、自らの拳で運命を切り開く物語。
喧嘩上等のボディガード・新道依子と、ヤクザの箱入り娘・内樹尚子。
まるで正反対のふたりが、血と泥にまみれながらも、名もなき絆を育んでいく。
読者の思い込みを鮮やかに裏切る叙述トリック、疾走感あふれる逃走劇、そして「鬼婆になりたい」という願いに込められた自由への渇望。
ページをめくるたびに、あなたの中の“常識”が音を立てて崩れていくはず。
この物語を読み終えたとき、あなたはきっとこう思うでしょう──
「私も、肩で風を切って歩きたい」と。さあ、ババヤガの夜へようこそ。

40年逃亡劇と魂の絆を描く話題作
『ババヤガの夜』
著者 :王谷晶
ページ数:208ページ
あらすじ
お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う――。
暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。
拳の咆哮轟くシスターハードボイルド!
(Amazonより)
見どころ
暴力とフェミニズムの融合
本作の主人公・新道依子は、暴力を趣味とする女性という異色のキャラクターです。
彼女の肉体的な強さは、少年マンガのヒーローのように描かれていますが、それが女性であるという点に大きな意味があります。
作者・王谷晶は「闘うための動機が内から湧き出ている女性を描きたかった」と語っており、依子の暴力は単なる破壊ではなく、自己肯定と生存の手段として機能しています。
この描写は、女性が暴力を振るうには“納得できる理由”が必要とされがちな社会への挑戦でもあります。
依子はその枠を超え、純粋なエネルギーの塊として存在することで、フェミニズム的な解放を体現しているのです。
叙述トリックと名前の仕掛け
『ババヤガの夜』には巧妙な叙述トリックが仕込まれており、読者は自然とミスリードされていきます。
特に「正」や「芳子」といった人物の存在が、物語の構造に大きな転換をもたらします。
イニシャルネックレスや語りの視点の違和感など、伏線がさりげなく張り巡らされており、読み返すことで新たな発見がある構成です。
この仕掛けは、読者の思い込みを逆手に取った知的な遊びであり、ミステリーとしての醍醐味を存分に味わえる部分でもあります。
映像化が難しいとされるのも、この叙述トリックの巧妙さゆえです。
名前のつけられない関係性
依子と尚子の関係は、恋人でも友人でもない。ラベルを拒むその絆は、「魂の伴侶(ソウルメイト)」と呼ばれるような深い繋がりです。
彼女たちは、社会的な役割や関係性の枠に収まらず、ただ“共に生きる”ことを選びます。
「誰かの何かとして生きるのは、無理だ」という台詞が象徴するように、彼女たちは自由を求め続けます。
この関係性は、LGBTQやジェンダーの枠を超えた共感を呼び、海外でも高く評価されました。
性愛ではなく、運命を共にする存在として描かれる点が、非常に新鮮です。
映像的な描写と疾走感
王谷晶の文体は、まるで映画やマンガのような映像喚起力を持っています。
依子が服を脱ぎ捨てたときに現れる腹筋の描写など、視覚的なインパクトが強く、読者の脳内に鮮烈な映像が浮かびます。
特に逃走劇の場面では、スピード感と緊張感が絶妙に描かれており、まるで映画のワンシーンのよう。
ラストの「ババヤガの夜」に至る描写は、白昼夢のような静けさと余韻を残し、読後に深い感動を与えます。
読者の想像力を刺激する構造
『ババヤガの夜』は、すべてを語らず、空白を残すことで読者の妄想が物語を補完するスタイルを取っています。
登場人物の過去や未来、関係性の詳細は明言されず、読者自身が想像する余地が大きく残されています。
この構造により、読後に「尚子はどうなったのか」「依子は本当に自由になれたのか」と考えさせられる余白が生まれます。
読者それぞれの“ババヤガの夜”が脳内に投影される、そんな作品なのです。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・友情でも恋愛でもない“魂の伴侶”のような関係性に心を打たれた。
・暴力が趣味の女性主人公という設定に惹かれた。疾走感があり、一気読みした。
・女性が暴力を振るうことへの偏見を打ち破る描写に共感。フェミニズム的な力強さを感じた。
・途中の展開で完全に騙された。読み返して伏線に気づくのが楽しい。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・ふりがながなくて読み方がわからず、人物関係が混乱した。
・グロいシーンが多くて読むのが辛かった。内容は面白いが好みではない。
・裏社会の設定がリアルすぎて怖かった。殺伐とした雰囲気が苦手。
・途中から話が急に変わってついていけなかった。ラストも理解が難しかった。
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『ババヤガの夜』
著者:王谷晶



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