今回は、木爾 チレンさんの『哀を飲む』という小説を紹介します!
恋してるときの幸せはすぐ不安に変わる。
ちょっとしたことで胸がざわっとしたり、急に自分だけ置いていかれた気がしたり。
そういう気分のまま読んだのが、木爾チレンさんの『哀を飲む』だった。
読み始めたら、出てくる女の人たちの気持ちがリアルで、「ああ、こういう感じなんだ」って思う場面がいくつもあった。
大きな事件が起きるわけじゃないのに、読み終わる頃にはなんとなく胸の奥がじわっとしてくる、そんな短編集。

哀しみと依存の短編集
『哀を飲む』
著者 :木爾 チレン
ページ数:240ページ
あらすじ
愛を手に入れた時の高揚感、そして愛を手放した時の喪失感、哀しみを飲み込む辛さなど、本書には恋愛が持つ美しさと苦悩と痛みが、瑞々しく描かれている。
これは、木爾チレンが描く「究極の愛と狂気」。人生のほんのひとときくらいは、
哀しみを味わうのも悪くない。
――飲み込んだ哀しみは、いつかあなたを生かす血肉になる。
(Amazonより)
見どころ
作品全体を包む哀しみ
この短編集の一番の魅力は、やっぱり「哀しみ」だと思った。
大げさな悲劇があるわけじゃないのに、読んでいると胸が重くなる。
登場人物の気持ちがリアルで、自分の昔の気持ちを思い出すような瞬間がある人は多いと思う。
木爾チレンさんの文章は派手じゃないけれど、気づくと心に残っている。
飲むが象徴するもの
水やジンジャーエールみたいな普通の飲み物から、梅酒、薬、骨まで。
それぞれの「飲む」という行為が、その人の弱さや依存、満たされない思いと繋がっている。
飲み物が変わるたびに、その人の人生の味が変わるようで、短編集全体がひとつのコース料理みたいにまとまっているのが面白い。
生々しい性描写と心の歪み
性描写はかなりリアルで、人によってはきつく感じるかもしれない。
でも、ただ刺激的に書いているわけじゃなくて、「誰かに求められたい気持ち」や「自分を保てなくなる瞬間」を描くために必要な表現なんだと思う。
恋愛の幸せよりも、その裏にある不安や孤独のほうが強く伝わってくる。
喪失の影
恋人を失った人、若さを失った人、自信を失った人。
喪失の形は違うのに、どの話にも同じような寂しさがある。
タイトルの通り、哀しみはすぐに消えるものじゃなくて、しばらく心の中に残り続ける。
その感覚が、どの短編にも共通している。
あとがきが示す「この短編集の飲み方」
最後にある作者の言葉が、この本の印象をさらに深くしてくれる。
それぞれの話に込めた思いや、並び順の理由を知ると、読み終えたあとに「ああ、こういう意図だったんだ」と腑に落ちる。
短編集なのに、ひとつの料理を食べ終えたような満足感がある。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・心の奥をえぐるような哀しみが好きな人には刺さる
派手さはないけれど、静かに沈んでいくような感情が心地よくて、読後に余韻が残った。
・性と喪失を絡めた文学が好きなら満足できる
生々しい描写も含めて“人間の弱さ”が丁寧に描かれていて、短編ごとに味が違うのが良かった。
・恋愛の影にある不安や依存を描いた作品が好き
「わかる…」と共感してしまう場面が多く、痛いのに読み進めてしまった。
・作者の独特の世界観に浸りたい人向け
どの話も空気が統一されていて、飲み物のフルコースという構成が面白かった。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・性描写が苦手だとかなりきつい
想像以上に生々しくて、物語に集中できなかった。
・明るい恋愛や爽やかな読後感を求める人には不向き
全体的に重く、読んでいて気持ちが沈んでしまった。
・登場人物の依存やメンヘラ気質がしんどい
共感よりも「なんでこんな行動を…」という気持ちが先に立ってしまった。
・ストーリー性より雰囲気重視の作品が合わない人は退屈かも
大きな展開があるわけではなく、淡々と進むので物足りなさを感じた。
その他の人気作品
二人一組になってください

「このクラスには『いじめ』がありました。それは赦されるべきことではないし、いじめをした人間は死刑になるべきです」
とある女子高の卒業式直前、担任教師による【特別授業(ゲーム)】が始まった。
突如開始されたデスゲームに27人全員が半信半疑だったが、余った生徒は左胸のコサージュの仕掛けにより無惨な死を遂げる。
自分が生き残るべき存在だと疑わない一軍、虚実の友情が入り混じる二軍、教室の最下層に生息し発言権のない三軍――。
本当の友情とは?
無自覚の罪によるいじめとは何か?
生き残って卒業できるのは果たして誰か?
(Amazonより)
静電気と、未夜子の無意識

顔が良ければ誰でもあり。
時に九人と付き合っていた未夜子は大学構内で風変わりな男の子・亘を見かける。
その瞬間、「無意識」は恋に侵された。衝動のまま亘との距離を縮めていくが、彼女にはなれず関係も途切れ……。
疼き続ける恋心に惑う未夜子が、終わらない初恋を終わらせるため向かった先は――。
(Amazonより)
神に愛されていた

女にだけわかる、狂気。
過剰な嫉妬は、やがて強大な殺意へ…。
若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となった東山冴理。
しかし冴理は人気絶頂のさなか、突然、筆を断った――。
やがて三十年の時が経ち、冴理のもとに、ひとりの女性編集者が執筆依頼に訪れる。
「私には書く権利がないの」そう断る冴理に、
「それは三十年前——白川天音先生が亡くなったことに関係があるのでしょうか」編集者は問う。
「あなたは、誰かを殺したいと思うほどの絶望を味わったことってあるかしら」
――そして、この時を待っていたというように、冴理は語り始める。
高校文芸部の後輩、白川天音が「天才小説家」として目の前に現れてから、
全ての運命の歯車が狂ってしまった過去と、その真実を……。
(Amazonより)
みんな蛍を殺したかった

――みんな誰かを殺したいほど羨ましい。
美しい少女・蛍が線路に身を投じる。
儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく――
京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。
そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。
生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。
次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。
真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍が遺した悲劇の歪みが残された者たちを絡めとっていく――
(Amazonより)
読んでみた感想(ネタバレ注意)
恋愛の甘さやときめきよりも、その裏側にある不安や孤独のほうが強く描かれていて、「恋をするとき、人はこんなにも弱くなるんだな」と改めて思わされる。
登場する女性たちは、誰もが少しずつ壊れている。
その壊れ方は日常の中でふと生まれる小さなひび割れのよう。
「自分なら絶対こうはならない」と言い切れない危うさがある。
特に印象に残ったのは、どの女性も「誰かに必要とされたい」という気持ちに振り回されているところ。
愛されたい、見捨てられたくない、ひとりになりたくない。
その気持ちが強すぎて、相手に依存してしまったり、自分の価値を相手に預けてしまったりする。
第三者目線だとその姿が痛々しくみえてしまう。
読後は、哀しみってこうやって少しずつ体の外に出ていくんだなという感覚。
飲み込んだ哀しみはすぐには消えないけれど、時間をかけて薄まっていく。
そんな人間の弱さと回復の過程が、短編集全体を通して感じれた。
派手な展開はないけれど、改めて考えさせられるような読書体験だった。
簡単買取!
ネットで簡単、本&DVD 宅配買取のネットオフ!
読み終えた本や、使わなくなったゲーム・DVDを手放したいときに便利なのが、ネットオフの宅配買取サービス!
自宅からまとめて送るだけで、査定・買取まで完了するので、重い荷物を持ってお店に行く必要はありません!
買取対象は、書籍・ゲーム・DVD・Blu-rayなど幅広く、1点ずつ査定結果が確認できるのも安心ポイント。
全国どこでも送料無料で、集荷伝票も不要。
本人確認もWEBで完結するので、初めてでもスムーズに利用できます。
段ボールも最大6箱まで無料でもらえるので、引っ越しや片付けのタイミングにもぴったり。
部屋をすっきりさせたいときや、ちょっとしたお小遣い稼ぎにもおすすめです。
気になる方はチェック!
【好評発売中】

『哀を飲む』
著/木爾 チレン







コメント