今回は、一穂ミチさんの『アフター・ユー』という小説を紹介します!
突然、大切な人がいなくなる。
その瞬間から世界の色が変わってしまう経験をしたことがあるだろか?
『アフター・ユー』は、「喪失」を真正面から描いた物語。
10年連れ添った恋人が旅先で帰らぬ人となり、残された者はどう生きていくのか。
ミステリーのように真相を追い、ファンタジーのように亡き人の声が響く場面。
「人は変わる」と「人は変わらない」の両方を感じられる、不思議な一冊。

ミステリー×ファンタジーで描く喪失の旅
『アフター・ユー』
著者 :一穂ミチ
ページ数:352ページ
あらすじ
タクシー運転手の青吾が仕事を終えて家に帰ると、帰宅しているはずの恋人・多実がいない。
翌日以降も戻る気配がなく焦りを募らせる青吾のもとに、
<多実が見知らぬ男性と五島列島の遠鹿島で海難事故に遭い、行方不明になった>
というしらせが届く。
謎の多い事故の真実を求めて、男の妻だという沙都子と遠鹿島へ向かう青吾。
多実の人生のかけらを拾い集める旅は、青吾自身の過去をも照らしながら、思いも寄らぬ場所へとふたりを導く――。
(Amazonより)
見どころ
強共感
物語は、10年連れ添った恋人が「見知らぬ男」と旅先で海難事故に遭い、帰らぬ人となるという衝撃的な知らせから始まる。
ここで描かれるのは、突然大切な存在を失った人間の心の揺れ。
主人公・青吾は、現実を受け入れられず、連絡を待ち続け、やがて真相を探る旅に出る。
喪失の痛みを真正面から描いているため、共感する人にはかなり刺さる。
ミステリーとファンタジー
遠鹿島での探索は、ミステリー仕立てで進む。
事故の真相を追う青吾と沙都子が出会うのは、島に住む人々の過去や秘密。
そして唐突に現れるファンタジー要素。
公衆電話から聞こえるはずのない多実の声。
現実と幻想が交わり合うことで、物語はミステリーの謎解きだけではなく「亡き人とのつながり」をどう受け止めるかというテーマが与えられる。
青吾と沙都子の対比
この作品の大きな見どころは、残された二人の対比。
孤独に取り残された青吾と、妊娠を抱えながらも行動力を発揮する沙都子。
二人は同じ「残された者」でありながら、立場や未来の方向性が違う。
最後に二人がそれぞれの道を歩み始める場面は、「残された者の生き方には多様な形がある」ということを実感させられる。
涙を誘う「タオルケット」の場面
物語の中で最も心に残るのが「タオルケット」の描写。
喪失の痛みを抱えたまま、それでも人は生きていく。
その象徴のような場面で、涙を誘うと同時に温かさも残してくれる。
ここで初めて、「悲しみの中にも救いがある」と感じるのではないだろうか。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・「タオルケット」の場面が心に残り、切なさと温かさが同居する余韻が良かった
・喪失の痛みを丁寧に描いていて、共感しながら涙が止まらなかった
・ミステリーとファンタジーが混ざる展開が新鮮で、最後まで一気に読めた
・青吾と沙都子の対比が面白く、残された者の生き方を考えさせられる
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・喪失をテーマにしているが、感情の深掘りが足りず淡白に思えた
・公衆電話のファンタジー要素が唐突で、物語に入り込みづらかった
・登場人物が都合よく秘密を語りすぎて、ミステリーとしては物足りない
・島での人間関係のいざこざが既視感あり、重厚感に欠けると感じた
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読んでみた感想(ネタバレ注意)
10年連れ添った恋人が、見知らぬ男と旅先で海難事故に遭い帰らぬ人となる。
恋人を突然失った青吾の姿は、ただ悲しみに沈むだけじゃなく、真実を知ろうと動き続ける姿が印象的。
喪失の痛みを抱えながらも、止まってしまうのではなく、前へ進もうとする人間の強さが描かれているように思った。
また、沙都子という存在が物語を支えているのも大きなポイント。
彼女は夫を失いながらも冷静に行動し、青吾を引っ張っていく。
二人の関係は恋愛ではなく「同じ喪失を抱えた者同士の連帯」であり、その距離感がいい。
人は孤独に耐えられないからこそ、誰かと一緒に悲しみを分かち合うのだと感じさせられた。
ファンタジー要素については、唐突に思える場面もあったが、むしろ「現実では説明できないことが起きてしまうのが喪失の本質」なのかもしれない。
亡き人の声が聞こえるという不思議な出来事は、理屈ではなく心の救いとして描かれていて、読者にとっても慰めになる部分なのかなと。
最後に残るのは、悲しみそのものではなく「それでも生きていく」という決意。
派手な救いはなくても、日常の中に小さな希望を見つけることができる。
切なさと同時に「人は前に進める」と思えた一冊。
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『アフター・ユー』
著者:一穂ミチ





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