今回は、道尾秀介さんの『I 』という小説を紹介します!
雨の匂いを思い出したことはありますか?
土の湿った香り、アスファルトに広がる独特の匂い…
それに名前があるなんて、少し不思議。
この小説は匂いをタイトルに冠した物語。
しかも、この本はどちらの章から読み始めるかによって、登場人物たちの運命がまるで別の世界へと分岐していく。
救いのある結末にたどり着くのか?
それとも絶望の淵に立たされるのか?
選ぶのは読者自身!
ほんの小さな選択が大きな悲劇や救いを生み出すことに気づかされる。
読み終えた後には「逆の順番で読んでみたい」と、そんな不思議な体験が待っている。

読む順番でハッピーエンドかバッドエンドかが決まる
『I 』
著者 :道尾秀介
ページ数:304ページ
あらすじ
ホームレスの野宮と知り合った田釜は、元刑事だという野宮が語る幾つかの話に耳を傾ける。
田釜も、野宮も、何かを抱えていた。(「ゲオスミン」)
硝子職人の律子と暮らす高校生の夕歌は、世間を騒がせた一家殺害事件の生き残りだった。
彼女には誰にも言えない秘密があり……。(「ペトリコール」)
(Amazonより)
見どころ
読む順番が結末を決める
この作品は二つの章から構成されていて、どちらを先に読むかで物語の結末が変わる。
「ゲオスミン」から読むと比較的救いのある結末にたどり着く人が多いが、それでも完全なハッピーエンドではなく、登場人物の死や喪失が前提にあるため、読後感は決して軽くない。
逆に「ペトリコール」から読むと破滅的な展開に進み、絶望感が強く残る読後感。
つまり、読者はただ物語を追うだけでなく、自分の選択によって登場人物の運命を左右するような感覚を味わうことになる。
これは小説を読む行為そのものを「参加型」に変える仕掛けであり、道尾秀介ならではの挑戦的な試み。
人間の心の暗さと生々しさ
道尾作品の特徴は、登場人物の心の奥に潜む「影」を描くこと。
幼い少女でさえ純粋さだけではなく、どす黒い感情を抱えている。
この「人間の生々しさ」があるからこそ、救いのある結末を選んでも、どこか後味の悪さや重苦しさが残る。
逆に絶望的な結末を選んでも、ただ暗いだけではなく「人間らしさ」が強烈に刻まれる。
道尾秀介は、善悪や幸福、不幸を単純に分けるのではなく、人間の複雑さをそのまま物語に落とし込んでいる。
物語を象徴する言葉
「ゲオスミン」「ペトリコール」というのは、雨や土の匂いを表す化学用語。
普段はあまり耳にしない言葉だが、読み進めるうちにその匂いのイメージが物語の空気感と結びつつく。
雨上がりの匂いが持つ「浄化」と「不吉さ」の二面性が、作品全体のテーマと重なり合い、読後には忘れられない。
これが作品の象徴であり、物語の根幹に関わる重要な要素。
緻密な仕掛けと再読の楽しみ
この作品には、時系列の入れ替えや、ほんの小さな記号や線の有無で物語が大きく変わる仕掛けが張り巡らされている。
例えば、冒頭の「◻︎」に数字や漢字を入れるだけで意味が変わり、それが後半に効いてくる。
一度読んだだけでは気づけない部分が多く、逆順で読み直すと新しい発見がある。
読者の多くが「もう一度読みたい」と感じるのも当然で、再読を前提にした作品と言えるだろう。
読後に紙に時系列を書き出して整理したくなる、そんな構造的な面白さがある。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・道尾秀介らしい緻密なトリックに驚かされ、考察好きにはたまらない一冊
・読む順番で結末が変わる仕掛けが斬新で、二度三度と読み返したくなる
・人間の心の暗さや弱さをリアルに描いていて、読後に深い余韻が残った
・タイトルの意味が物語と結びついていて、読後に「雨の匂い」を思い出すほど印象的
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・トリックや構造は凝っているが、感情的な満足感は得られず不完全燃焼だった
・救いのある結末でも重苦しさが残り、読後感が暗くて気分が沈んだ
・読む順番を選ぶ仕掛けは面白いが、物語自体が悲しすぎて再読する気になれない
・登場人物の死や自殺が前提にあるため、読んでいて辛くなった
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読む順番で、世界が変わる。
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読んでみた感想(ネタバレ注意)
まず感じたのは「小説ってここまで読者を巻き込めるんだ」という驚き。
二つの章をどちらから読むかで結末が変わるという仕掛けは、読者自身が物語の運命を選んでしまうというような不思議な体験だった。
私は「ゲオスミン」から読み始めたが、確かに救いのある結末にたどり着いたものの、決して手放しで喜べるような明るさではなかった。
人の死や喪失が前提にあるので、どこか重苦しさが残る。
それでも、登場人物たちの心の奥に潜む影や弱さがリアルに描かれていて、読後には「人間ってこういうものだよな」と妙に納得させられる部分があった。
「ゲオスミン」「ペトリコール」が雨や土の匂いを意味する言葉だと知ったとき、雨上がりの匂いが持つ「浄化」と「不吉さ」の二面性が、この作品のテーマそのものを象徴しているように思えた。
そして何より、道尾秀介らしい緻密な仕掛け。
ほんの小さな記号や線の有無、時系列の入れ替えで物語が大きく変わる構造は、読み返すたびに新しい発見がある。
読み終えた後に「逆の順番でもう一度読んでみたい」と思わせる力があるのは、この作品ならでだろう。
一言でまとめるなら、救いと絶望が表裏一体となって迫ってくる、再読必須の心理サスペンス。
忘れられない一冊。
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『I』
著者:道尾秀介







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