今回は、斜線堂有紀さんの『恋に至る病』という小説を紹介します!
「人の心に入り込むのは、息をするより簡単だった。」
「寄河景」この名前覚えてますか?
斜線堂有紀の『恋に至る病』で登場した、あの“美しい毒”の少女。
150人以上を巻き込んだ自殺教唆ゲーム「ブルーモルフォ」の主催者でありながら、儚くて、魅力的で忘れられない存在。
そんな景の裏側に迫る短編集『病に至る恋』。
幼少期のこと、ゲームの舞台裏、恋人との日常、もしもの世界線まで。
4つの物語で彼女の輪郭がさらに鮮明になる。
原作を読んだ人ならきっと「そう来たか!」と驚かされるし、映画化を控えた今だからこそ、もう一度“あの少女”に会いに行くタイミングなのかもしれない。

恋に至る病スピンオフ短編集
『病に至る恋』
著者 :斜線堂 有紀
ページ数:208ページ
あらすじ
全てはここから始まった。美しい毒が、日常を侵す――。
150人以上の被害者を出した自殺教唆ゲーム『青い蝶(ブルーモルフォ)』の主催者である女子高生の寄河景。
彼女がなぜここに至ったのか。
その片鱗が垣間見える幼少期を描いた「病巣の繭」。
ゲームに囚われた少年少女を描く「病に至る恋」。
景と宮嶺望のデートを描いた「どこにでもある一日の話」。
もし自分の異常性に気付いた景が小学校に通うのをやめていたら?
運命の残酷さを描く「バタフライエフェクト・シンドローム」。
これは、愛がもたらす悲劇の連鎖――病に至るまでの恋の物語。
(Amazonより)
見どころ
景という異質な存在
寄河景は「人の心に入り込むのは、息をするより簡単だった」という一文に象徴されるように、人の心を自然に侵食してしまう存在。
彼女は意図的に操っているのか、それとも無意識なのか…
だからこそ怖い。
母親ですら最初は違和感を覚えながらも、景の愛情に包まれるうちに思考が溶けていく。
この「侵食」の描写が、景の魅力と恐ろしさを描いている。
短編集ではその力がどんな場面で発揮されるのかが丁寧に描かれていて、景の輪郭がはっきりしてくる。
原作『恋に至る病』の補完と再解釈
この短編集は、原作の前日譚や裏側、そしてIFの世界を描くことで、景の行動や感情を新しい角度から理解させてくれる。
特に宮嶺との関係性に焦点を当てたエピソードは重要で、景にとって彼が唯一“人間らしく”接することができる相手だとわかる。
彼との時間だけが日常のように描かれていて、原作を読み返すとラストの解釈が変わる人も多いはず。
つまり、この短編集は原作を「補強」するだけでなく、「再解釈」を促す役割を持っている。
運命の残酷さを描くIFストーリー
最終話『バタフライエフェクト・シンドローム』では、もし景が自分の異常性に気づいて学校に通わなかったら…というIFが描かれいる。
でも結局、どんな選択をしても宮嶺との出会いは避けられず、同じ結末にたどり着く。
小さな選択が未来を変えるはずなのに、景と宮嶺の関係だけは揺るがない。
バタフライエフェクトという言葉が示す「小さな違いが未来を変える」という考え方を逆手に取って、むしろ「変わらないもの」を描いているのが印象的。
恋と承認欲求の“病”
タイトルにもあるように、この短編集は「恋」が「病」に変わる瞬間を描いている。
ブルーモルフォに参加した少年少女たちは、自分を否定することで承認欲求を満たそうとする。
これはSNS時代の「見られたい」「認められたい」という欲望の行き着く先を描いていて、現代的なテーマでもある。
景はその欲望を利用して人を導いていくけれど、彼女自身もまた「誰かに特別でありたい」と願っていたのかもしれない。
つまり、彼女は支配者であると同時に、承認欲求に囚われた一人の少女でもある。
けれども、彼女自身もまた、誰かに“特別”でありたいと願っていたのかもしれない。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・景の母親視点の話が怖すぎて最高。じわじわ侵食される感覚がたまらない
・寄河景の異質さに惹かれた。人間の闇を描くのが本当に上手い作家だと思う
・原作『恋に至る病』を読んでからだと、短編集の意味が深く感じられて鳥肌が立った
・IFストーリーの切なさが刺さった。結局運命は変えられないという無情さが美しい
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・原作を読んでいないと意味が分からない部分が多くて置いてけぼりになった
・登場人物の感情が分かりづらくて、共感できなかった
・文章が難解で、接続が飛びすぎて読みにくかった
・暗い話ばかりで気分が沈んだ。もう少し救いが欲しかった
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読んでみた感想(ネタバレ注意)
景の幼少期から始まって、ブルーモルフォにのめり込んでいく高校生の話、宮嶺とのデート、そしてもしもの世界線まで、4つのエピソードで景という存在をいろんな角度から描いている。
やっぱり印象的なのは、幼少期の景。
母親ですら違和感を覚えながらも、気づけば彼女の愛情に取り込まれてしまう。
もうこの時点で「生まれながらの怪物」って感じがゾッとする。
人を操ることに意識的なのか無意識なのか、その曖昧さが逆に怖い。
ブルーモルフォに囚われていく高校生の話は、読んでいて胸が重くなる。
少しずつ世界に傾倒していって、気づけば逃げられない。
景が「流される人間」を淘汰していく構造が見えてきて、ただただ残酷。
でも一方で、宮嶺とのデートの話は妙に普通で、景がただの女子高生に見える瞬間がある。
好きな人のそばにいると自分が自分でいられる、そんな当たり前の幸福を感じていたんだろうなと思うと、余計に切ない。
最後の「バタフライエフェクト・シンドローム」はもしもの世界線。
景が不登校になっていたら…というIFなんだけど、結局どんな選択をしても宮嶺との出会いは避けられず、同じ結末に向かってしまう。
運命の残酷さを突きつけられて、読後はズーンと重い気持ちになる。
全体を通して感じたのは、景はやっぱり“美しい毒”だということ。
人を狂わせる力を持ちながら、本人もまた誰かに「特別でありたい」と願っていたのかもしれない。
だからこそ怖いし、だからこそ魅力的。
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『病に至る恋』
著者:斜線堂 有紀




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