今回は、清水晴木さんの『永遠猫の祝福』という小説を紹介します!
「もし、あなたの前に400年生きてきた猫が現れたら——
しかも、人の言葉を話し、傷を癒す力を持ち、焼き鮭が大好物だったら?」
そんな少し不思議で、どこか優しい物語が、清水晴木の『永遠猫の祝福』です。
春・夏・秋・冬、季節ごとに出会う4人の人間たちは、誰もが人生の岐路に立ち、心に深い痛みを抱えています。
孤立する少女、自死を考える会社員、後悔に苛まれる息子、余命を告げられた女性——
彼らの前に、ふてぶてしくも愛らしい“永遠猫”エルが現れ、そっと寄り添い、時に鋭く、時に温かく「生きることの意味」を問いかけてくるのです。
この物語は、ファンタジーでありながら、現実の苦しみや希望に深く根ざしています。
読んでいるうちに、気づけば自分自身の「生き方」や「死との向き合い方」を静かに見つめ直している——
そんな不思議な読書体験が待っています。
続きを読めば、きっとあなたも「今日を生きる」ことの意味に、そっと触れられるはずです。

400年生きる猫と人間の“生きる意味”を巡る旅
『永遠猫の祝福』
著者 :清水晴木
ページ数:264ページ
あらすじ
人の間に生き、なによりも深く人を愛した猫は、今日も誰かの心に「生きる意味」を問う……。
愛情への渇望に揺れる、母と二人暮らしの中学生・景奈がある日出会ったのは、尻尾の長い、ベージュと黒のマーブル模様の猫だった。
エルと名乗る「彼」は、舐めて瞬時に傷を癒やし、人語を操る不思議な力を持っていた。
「私はもう四〇〇年 生きている」なぜか老いもせず、病に倒れることもなく。
永遠にも似た時間を生きるエルが、母や友との向き合い方に悩む景奈に問いかけた言葉とは――。
(Amazonより)
見どころ
永遠猫エルという存在の魅力
物語の中心にいるのは、400年を生きる不思議な猫「エル」。
人語を話し、焼き鮭が大好きで、舐めると傷が癒えるという特異な力を持っています。
さらに、関わった人間の記憶から自分の存在を消す能力まで備えている。
そんな万能とも言える力を持ちながら、エルは決して万能感を振りかざすことなく、どこか気まぐれで、ふてぶてしく、でも根底には深い優しさがある。
エルの言葉は時に辛辣で、例え話も独特。
でもその言葉の裏には、長く生きてきたからこそ知っている「人間の弱さ」と「生きることの尊さ」が込められていて、読者の心にじんわりと染みてきます。
彼の存在は、神でもなく、ただの猫でもなく、「命の案内人」として描かれているのです。
四季を巡る連作短編集の構成美
本作は「春」「夏」「秋」「冬」の4章からなる連作短編集。
それぞれの季節に、エルは異なる人間と出会います。
- 春:クラスで孤立した女子中学生。心を閉ざした彼女に、エルは桜の蕾のような希望を届ける。
- 夏:樹海で自殺を試みる男女が出会い、互いの存在に救われていく。死に向かう心が、生へと転じる瞬間の美しさが胸を打つ。
- 秋:父の最期を看取れなかった後悔に苛まれる豆腐屋の跡取りと、弁当屋の女性との静かな恋。生きることと誰かに寄り添うことの意味が描かれる。
- 冬:余命宣告を受けた女性が、残された時間の中で「生きること」を見つめ直す。最終話には驚きの展開があり、読者の涙を誘う。
季節の移ろいとともに、登場人物たちの心も少しずつ変化していく。
それはまるで、冬の終わりに春が訪れるように、絶望の中に希望が芽吹く過程を見ているようです。
生と死に向き合う物語の深さ
この作品の根底にあるのは、「死にたい」と思うほど苦しんでいる人々が、「生きる意味」に出会うまでの物語です。
エルは彼らに寄り添い、時に厳しく、時に優しく、彼らの心に問いを投げかけます。
「生きることに許可なんかいらない」 「死に様だけが残るなんて悲しいな。
生き様を思えば、あたたかな愛も喜びも確かにあった」
こうした言葉が、読者自身の心にも響きます。
誰かの死を通して、自分の生を見つめ直す。
自分の苦しみを、誰かの言葉で少しだけ軽くする。
そんな体験が、この物語には詰まっています。
読後に残る「静かな祝福」
最終話を読み終えたとき、読者はある「サプライズ」に気づきます。
エルが出会った人々の中に、彼自身の運命の相手がいたこと。
そして、永遠に生き続ける彼が「生きる意味」を見出した瞬間、物語は静かに祝福へと変わります。
それは、誰かの人生に寄り添うことの尊さ。言葉を交わすことの奇跡。
そして、生きることそのものへの賛歌。
この作品は、ファンタジーでありながら、現実の苦しみや希望に深く根ざしていて、読む人の心をそっと抱きしめてくれるような優しさがあります。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・読後に心が浄化される
死に向き合う話なのに、読後は不思議と前向きな気持ちになれた。
・泣ける猫小説が好き
命や再生をテーマにした物語に弱い。エルの言葉に何度も涙した。
・ファンタジー×現実の融合が心地よい
猫が喋る設定なのに、描かれる人間の悩みがリアルで共感できた。
・季節の移ろいと心の変化が美しい
春夏秋冬の構成が、登場人物の心情とリンクしていて感動的だった。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・重いテーマが続いて読むのがしんどかった
生と死を扱う話が連続するので、気分が沈んでしまった。
・猫が喋る設定に入り込めなかった
ファンタジー要素が強すぎて、感情移入できなかった。
・感動を押しつけられているように感じた
泣かせようとする演出が多く、少しわざとらしく感じた。
話が淡々としていて物足りない
大きな展開や盛り上がりが少なく、印象に残りづらかった。
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『永遠猫の祝福』
著/清水晴木



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