今回は、原浩さんの『身から出た闇』という小説を紹介します!
「この本、読んだあとに編集者からメールが来たらどうしますか?」
そんな冗談が冗談で済まなくなるような一冊が、原浩さんの『身から出た闇』です。
角川ホラー文庫から刊行されたこの短編集は、ただ怖いだけではありません。
作家と編集者のやりとりが物語の一部として組み込まれ、現実と虚構の境界がじわじわと崩れていく構成が、読者の“日常”にまで恐怖を染み込ませてきます。
短編を書き上げるたびに編集者が体調を崩し、メールの文面が狂気じみていく。
そんな不穏な空気の中で生まれた物語たちは、どれも独立した恐怖を持ちながら、最後には一つの“闇”へと収束していきます。
ホラー好きはもちろん、物語の構造にこだわる読者にも刺さる一冊。
読後、ふとスマホの通知が鳴ったとき、あなたはきっと一瞬、息を呑むでしょう。

ホラーと編集者の狂気が交錯する
『身から出た闇』
著者 :原浩
ページ数:320ページ
あらすじ
この本ができあがるまでに、編集者が二人消えています。
これは私が、角川ホラー文庫編集部から依頼を受けた連作短編集です。
駆け出しの私に依頼が来るだけありがたく、最初は喜んで引き受けた作品でした。
しかし、短編を提出するごとに、担当編集の休職が発生している以上、これを刊行するという編集部の判断が、正しいのか分かりません。
※このあらすじは、原浩氏の強硬な主張により、挿入されたものです。編集部の意図とは相違があります。本作は、あなたが望んでいる作品です。
(Amazonより)
見どころ
出版の舞台裏が物語になるという構造の妙
この作品の最大の特徴は、作家と編集者のやり取りそのものが物語の一部として描かれている点です。
角川ホラー文庫から短編集の執筆依頼を受けた原浩さんが、編集者と打ち合わせを重ねながら短編を一本ずつ書いていく。
その過程がリアルに描かれているのですが、次第に編集者の様子がおかしくなっていくという展開が、読者にじわじわとした不安を植え付けます。
この“現実と虚構の境界が曖昧になる”構成は、まるでモキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)のよう。
読者は「これは本当に起きたことなのでは?」と錯覚するほどの筆力に引き込まれます。
出版という日常的な営みが、いつの間にか怪異に飲み込まれていく様子は、ホラーとして非常に新鮮です。
短編それぞれの完成度と多様性
収録されている短編は、どれも独立した物語として読める完成度の高さを誇ります。
「トゥルージー」ではラストの余韻が深く残り、「らくがき」では死に憑かれた会長の語りが印象的。さらに「エレベーターの話」では、日常の中に潜む恐怖がゾワっとした感覚を呼び起こします。
それぞれの短編は、テーマも語り口も異なり、読者を飽きさせません。
しかも、これらの短編が最終的に一つの“闇”に繋がっていく構成になっており、連作としての醍醐味も味わえます。
短編の面白さと、全体を通しての物語の流れが両立しているのは、非常に巧みな構成力の賜物です。
編集者とのメールが生む緊張感と狂気
作中で交わされる編集者とのメールの文面が、物語の緊張感を高める重要な要素になっています。
最初は普通のやり取りだったはずのメールが、徐々に狂気じみていく。
その変化が非常にリアルで、読者は「何かがおかしい」と感じながらも、目が離せなくなります。
このメールの描写は、現代的なホラーの手法としても秀逸です。
SNSやメールといった日常的なコミュニケーション手段が、恐怖の媒介となることで、読者の現実感覚にも揺さぶりをかけてきます。
読後に残る“じわじわ系”の恐怖
本作は、派手なショック描写よりも、読後にじわじわと残る恐怖が特徴です。
読者の感想にも「小野不由美の『残穢』ばりに、読後もじわじわ怖い」という声があり、まさに“後を引く怖さ”が魅力です。
現実と虚構の境界が曖昧になる構成、編集者の変容、短編の多様性と完成度——
それらが複雑に絡み合い、読者の心に長く残る不気味さを生み出しています。
ホラーとしての深みと、物語としての面白さが両立している点で、非常に完成度の高い作品と言えるでしょう。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・モキュメンタリー風の構成がリアルで怖い。
「本当に起きたことかも」と思わせる筆力に引き込まれた。
・現実と虚構が交錯する構成が斬新で面白い。
編集者とのやりとりが物語に組み込まれていて、リアルな怖さがある。
・短編それぞれのクオリティが高く、ラストに向けての繋がりが見事。
特に「トゥルージー」や「らくがき」が印象的だった。
・読後にじわじわ残る恐怖が心に染みる。
小野不由美『残穢』のような余韻があり、ホラー好きにはたまらない。
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・短編の怖さよりも構成の面白さが前面に出ていて、純粋なホラーとしては物足りない。
もっと直接的な恐怖を期待していた読者には不向きかもしれない。
・一部の短編は怖さが弱く、最後まで読むのが少ししんどかった。
エレベーターの話以外は印象が薄かった。
・モキュメンタリーの構成がわざとらしく感じた。
現実の話はなくてもよかったのでは、という意見も。
・編集者の変化が予想できてしまい、驚きが少なかった。
同じスタイルのホラーを読んだことがある人には既視感があるかも。
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『身から出た闇』
著者:原浩



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