今回は、佐原ひかりさんの『ネバーランドの向こう側』という小説を紹介します!」
心の深いところに、そっと触れてくる物語に出会ったことはありますか?
何気ない日常の一歩が、いつの間にか人生の大きな分岐点になっていた――
佐原ひかりさんの『ネバーランドの向こう側』は、そんな“気づき”を繊細に描く心温まる作品です。
家族という安心が突然失われ、何もできないまま取り残された30歳の主人公・実日子。
彼女が一人暮らしを通して“本当の自分”と出会い、優しくて頼もしい仲間たちに囲まれながら成長していく姿は、読者自身の人生にも静かに重なってきます。
子どもから大人へ――
誰もが通るその境界線を、実日子はどのように乗り越えるのか。
ちょっと不器用だけどまっすぐな彼女の旅路を見届けながら、あなた自身の“ネバーランド”をそっと振り返ってみませんか?
続きを読みたくなったら、ぜひご覧ください!

30代女性の成長を描く!
『ネバーランドの向こう側』
著者 :佐原ひかり
ページ数:240ページ
あらすじ
文化センターで働く30歳の実日子。
実家で何不自由ない生活を送っていたが、両親が交通事故で亡くなり、母方の叔母と同居することに。
箱入り娘で、家事ができず、世間知らずな実日子と合理主義の叔母は全く波長が合わず、実日子は人生初めての一人暮らしを決意するが……。
新居であるメゾン・ド・ミドリで出会った大学生サイトーくんや声優の新田さん、お見合い相手の椎名さんとの交流の中で、実日子は少しずつ強くなっていく。
(Amazonより)
見どころ
箱入り娘としての人生から、自立へ
主人公の実日子は30歳。文化センターに勤務する穏やかな女性ですが、実家暮らしで、家事も生活スキルもほとんど身につけていない箱入り娘。
両親の死という非日常的で辛い出来事をきっかけに、同居することになった母方の叔母と衝突。
合理主義的な叔母との価値観のズレに苦しみながら、ついに自らの意思で「一人暮らし」という人生の大きな決断をします。
この決断こそが、彼女にとって“ネバーランドの向こう側”へ踏み出す第一歩でした。
今まで守られていた自分を離れ、誰にも頼らず、少しずつでも「生きる力」を身につけていく。
その姿は読者にとって、時に励ましとなり、時に自分の過去と重ね合わせるきっかけにもなるでしょう。
メゾン・ド・ミドリという舞台と、出会いの奇跡
新たな住まい「メゾン・ド・ミドリ」には、どこか個性の強い住人たちが暮らしています。
実日子が最初に「変な人かも」と感じた人たち――
大学生サイトーくん、声優の新田さん、そして見合い相手だった椎名さん――
が、少しずつ彼女の人生に関わり始めていきます。
彼らとの何気ないやり取りからは、ユーモア、優しさ、そして時には厳しさも感じられます。
新田さんのトイレットペーパーのくだりなど、声を出して笑えるエピソードもありながら、それが単なるコメディではなく、主人公の“気づき”や“学び”に繋がっていく構成がとても巧妙です。
実日子は、彼らと接することで、自分に足りなかった常識や感受性を少しずつ吸収していきます。
それはまるで、誰かが教えてくれるわけではなく、“体験を通して”染み込んでいくような感覚。
読者自身がこの過程に寄り添うことで、「自分も変わっていけるかもしれない」と思える希望が宿ってきます。
大人になるとはどういうことか
この作品の根底には、「大人になる」というテーマがあります。
ただ年齢を重ねることでも、何か資格を得ることでもなく、傷ついたり、選択したり、失ったものに向き合ったりしながら、“自分で前へ進む”という精神的な成長を意味しています。
ピーターパンのモチーフはさりげなく散りばめられていて、実日子が“ネバーランド=安心で閉じた世界”から、現実世界に踏み出すまでのプロセスとリンクします。
「どこへでも行けるようになる」ことは、単なる自由ではなく、自分の意思で人生を選べるという力そのもの。
だからこそ、読み終えたときに静かに心が震えるのです。
誰もが抱える「喪失感」と、それを越えていく力
実日子だけでなく、登場人物たちはそれぞれに「喪失」を抱えています。
家族を失う痛み、将来への不安、人との距離感の難しさ――
こうしたものは、誰にでも経験があるものかもしれません。
本作では、それらを過剰に dramatize することなく、静かに、穏やかに描写しているところが魅力のひとつです。
この優しい描写が、逆に読者の心にじんわりと染みていく。
「あ、自分もこういう気持ちを感じたことがあるな」「誰かに話すことで、ちょっと前へ進めたことがあったな」と、読後に自然と自分自身と対話するような気持ちになります。
タイトルの意味と、実日子の選んだ未来
もともと本作は『天国よりも、どこへでも』というタイトルでPHP誌に連載されていました。
“天国”という理想の場所よりも、“どこへでも行ける”という自由こそが、大人としての可能性なのだというメッセージが込められていたのだと思います。
改題された『ネバーランドの向こう側』というタイトルは、実日子が現実に向き合い、守られていた世界から外の世界へ旅立っていくことを示す象徴的な言葉。
ラストの展開では、「ああ、だからこのタイトルだったんだ」と読者に納得させるような説得力が感じられます。
実日子の成長は、読者自身のこれからの人生にも“何かを始めてみよう”という静かな勇気を与えてくれます。
この作品は、人生の転機にある人、何かに不安を感じている人、そして大人になりきれない自分に悩んでいる人にこそ読んでほしい物語です。
心を優しく包んでくれるような文体と、ノスタルジックでありながら現実的な描写。
読んだあと、「もう少し自分を信じてみようかな」と思えるような、そんなささやかな奇跡がこの物語には詰まっています。
読者の口コミ
【この作品が合う人の口コミ】
・自分自身の葛藤と重なり、気づきがあった、励まされた
・純粋で世間知らずな主人公に共感し、私もこうだった
・一人暮らしや人との出会いの中で強くなる姿に、温かい気持ちになった
・淡く静かな語り口が心地よく、読後に優しい余韻が残った
【この作品が合わなかった人の口コミ】
・ピーターパン的な比喩が好みではなく、期待と違った
・都合よく進む展開にちょっと非現実的
・世間知らずすぎて感情移入できず、共感できなかった
・登場人物の一部が極端で、もう少しリアルに描いてほしかった
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